気まずい沈黙が流れる。
謝ると決めてここにいるけれど、その瞬間になるとやっぱり怖気づいてしまう。


周りの楽しそうな声、カチャカチャと食器が当たる音。
勇気が出るように、ぎゅっと両手を握って息を吸った。


「「ごめんなさい!」」


声が重なって驚いて、お互いと目が合う。
しばらく見つめあっていたけれど、麻妃がふふっと吹き出して、私もつられるように表情をゆるめる。


「あーあ、もう久しぶりに笑った!ちゃんと話したいし、とりあえずドリンクとりに行こ」

「うん、そうだね」


席を立ってドリンクバーコーナーへと歩く。
麻妃はいつもと同じジンジャーエール、私も同じようにコーンポタージュのボタンを押す。


「凛月、ほんと好きだねそれ。夏でもあったかいやつ飲むでしょ」

「うん、優しい味がするから好き。それに、コーンポタージュはホットが美味しいんだよ」


ふふっと微笑むと、「昔から変わらないなあ」とクスっと笑われる。
ああ、こうして普通に会話できているのがすごく嬉しい。


さっきまでの気まずさは嘘のようで、いつもの空気が戻ってきていた。