夜明け3秒前

それから私の母と会う日程や、昨日していなかった連絡先の交換をして別れた。


流川くんが来て話し合う日は、約一週間後の終業式の次の日。


家族が見る予定表の母の欄がその日は空白だったから、母が一日暇だということはわかっている。


だけど、母に話したいことがあるからこの日は時間がほしい、ということを何とか伝えないといけない。


これは私一人で上手くやらないと、彼が来て話すこともできなくなってしまう。



頑張らないと。
流川くんが一生懸命考えてくれているから、それを台無しにしないように。


これ以上迷惑をかけないように。



だけど、私が考えるべきことはそれだけじゃなかった。
麻妃のこともある。


もう長い夏休みが始まってしまうのに、仲直りはできないまま。
話しかけようとして目が合って、本当のことを言うか、いっそ嘘をついてしまうか迷っていたら目がそらされる。


結局この前から何も進展せず、それどころか悪化しているような気がした。


早く前みたいに話したいのに、麻妃のことを本当に思うなら今のままの方がいいんじゃないかと思う私もいて。


事実、麻妃の周りにはどんどん人が戻ってきていた。
さすがに、言い合いになってしまったときにいた3人組の子たちとは、あまり仲良くしていなかったように見えたけれど。


何かと理由をつけて後回しにしてしまう。
頑張るって決めたはずなのに、まだ、まだ時間があるから、なんて、絶対にその日はやってくるってわかってるのに。



麻妃と一言も喋ることもなく、たまに流川くんから何気ないメールがくるだけで、前とほとんど変わりない日常を終業式まで送った。


今日は、必ず母に伝えないといけないタイムリミットの日だ。
予定表は変わらず空白のまま。



問題は、私の話を聞いてくれるかどうかだ。
私がやらないと、頑張らないと。


自分が旅行について行きたいと言ったんだから。



やる気だけは十分で、寄り道せずそのまま家に帰った。