『……どこか遠くに逃げてしまいたいな』


そう言った彼女は今にも消えてしまいそうで怖かった。
力になりたくて、つなぎとめておきたくて必死だった。


だから無理も言って、連れ出して。
彼女が少しでも笑ってくれるように努力して。


やっと心を開いてくれたかと思ったら、また消えてしまうんじゃないかと思う状況になって焦った。

話してほしい一心でまた無理に迫って、これ下手したら嫌われるんじゃないかと思ったけれど、彼女が泣いたときは心底安心した。


そのあとまたちょっと避けられたけれど、次はどうやら俺のことを意識してくれてるっぽくて舞い上がった。
そのせいでちょっと理性が危うかったときもあったけれど……


まあとにかく、凛月が笑えるようになってよかったって話だ。