「凛月。お前は父親と母親から暴行を受けたことがあるか?」


母の泣き声が響き渡る中、祖父の声はしっかり聞こえる。
まさかそんなことを質問されると思わなくて、ひゅっと息がなった。


「……う、ん」

「……そうか。樹や莉子、光輝たち兄妹と、あからさまな差別を受けていたと聞いたがそれは本当か?」


え?
誰がそんなこと……

驚いて思わず兄妹たちの方を見る。
みんな下を向いていて表情は全くわからない。


「……そ、れは」


うんと頷くことも、ううんと首を振ることもできない。
苦しい、どう答えるのが正解かわからない。

黙り込んでしまった私を見て、祖父は言葉を続ける。



「もしこの家にいるのが辛いなら、俺たちの家に来なさい。今日は凛月にその話をしに来た」



その言葉はまさに青天の霹靂だった。