「え……?ど、どういうこと……?」


引き取る?私を?
そんな話、聞いたことない。


ただ事ではないとわかって血の気が引く。
誰かから説明されるのを待っていると、母が急に大声を出した。


「凛月は渡せません!これは私たち家族の問題です!」


母に久しぶりに名前を呼ばれてドキッとする。
それだけで嬉しく感じてしまうのだから、母親というのは不思議な存在だと思う。


「何を言っている!凛月を傷つけておいてまだそんなことを言うか!」

「何も知らないくせに口ださないで!!」


祖父の言葉に、母がヒステリックに叫んだ。
さっきまでの気持ちが吹き飛んで、体が一気に固まる。


「嫌、嫌よ!これ以上私の家族をかき乱さないで!」


母は狂ったように頭をかきむしって苦しそうだった。
こんな状態になったらいつも父が止めるのに、今日はただ茫然と見ているだけ。


「私は悪くない!私は悪くないわ!全部、全部――」


"凛月が悪いのよ。"


母は最後まで言葉を言わなかったけれど、きっとそう言いたいんだろうとわかった。
いつも言われていたから。

母はとうとう泣き出してしまった。
大声をあげて、まるで子どもみたいに。