夜明け3秒前

「それに謝らないといけないのは私の方!つまずいて流川くん巻き込んじゃったし、ほんとごめんなさい!助けてくれてありがとう!」


今だけはモヤモヤも吹き飛ぶように声を出すと、彼は少し安心したような顔をした。
少しは届いたかな……


「そ、それじゃあお邪魔しましたっ」
「えっ、り、凛月!」


それ以上は耐えられなくなって、彼の制止を振り切って部屋を出た。
そのまま自分の部屋へ入り布団の中に埋もれる。


「~~~っ!」


声にならない叫び声をあげて、足をじたばたと動かす。
でもすぐに止まってぱたりと力が抜ける。


……あのときの流川くん、まるで別人だった。
綺麗な人というより、かっこいい男の人だった。


ドジを踏んでしまった私を助けてくれた。
申し訳なかったけれど、嬉しかった。


でも。


謝るなら、あんな顔をするなら、どうして私に触れたの。
全然わからないよ……こんなこと初めてだもん。

胸がぎゅっと苦しくなる。
私も最近変だけど、流川くんも変だ。