「お待たせ!はい、これ」
流川くんが走って帰ってくると、ぽんと温かいものが渡される。
ありがとうとお礼を言いながら見ると、黄色いパッケージに、美味しそうなコーンの写真が映っていた。
「コーンポタージュだ……!」
「あはは、好きならよかった」
嬉しくて思わず声が出てしまったのを、彼に笑われて少し恥ずかしい。
それにしても、好きな飲み物をピンポイントで当てて買ってきてくれるなんて、彼はエスパーなのかな……
缶を手でゴロゴロして温まっていると、流川くんはナチュラルに私の隣に座ってきた。
顔をチラッと盗み見ると、顔はもう赤くない。
彼の手には一緒に買ってきたのか、アイスティーのペットボトルが握られていた。
熱中症……は大丈夫そうかな?
よかった、と心の中でほっと息を吐く。
「あ、お金……!」
普通の女子高生よりはお金を持ってないと思うけれど、自分のドリンク代くらい払える。
コーンポタージュの缶を置いて、まだ若干濡れているかばんの中から、質素なブラウン色のお財布を取り出す。
「いいよ、それくらい」
「えっ、悪いよ!ただでさえタオルとか体操服とか……」
なにもかもお世話になってる。
私は流川くんに何もできてないのに。
なんでもなさそうに笑う彼に、どうしてこんなに優しいんだろうと、少し怖くなる。
これが普通……?
みんなにとっての当たり前、なのかな……
そんな風に悩んでいると、表情に出ていたのだろうか、流川くんがそれじゃあ、と続ける。
「よければ話、聞かせてよ。当たり障りのない範囲でいいからさ」
一段と優しい声で話されて、心がほわっと温かくなる。
麻妃も私に優しいけれど、どちらかと言えば手を引いて歩いてくれる太陽みたいな優しさだ。
流川くんはなんていうか、布団とコーンポタージュみたい。
温かくて眠くなってしまいそうな感じがする。
「……やっぱり、痣とか見えて、た……?」
意を決して聞いてみると、彼は驚いた顔をした。
首に手を当てて、言いにくそうに口を開く。
「……あー、そっちじゃなくて、なんでびしょ濡れだったかを聞こうかなと思ったんだけど……」
やってしまった!!
自分で口を滑らしたことに気づいて、顔を手で覆い俯く。
「ご、ごめんなさい……!忘れてください!」
恥ずかしさと申し訳なさで消えてしまいたい。
日本語ってなんて難しいんだろう……
いや、これは私の勘違いだから、日本語は悪くないんだけれども……
声にしてしまった言葉は取り消せない。
「えーと、正直な話、痣が見えてたかと聞かれたらイエスなんだけど……」
「やっぱり見えてたんですか!?」
流川くんの言葉に驚いて、パッと顔をあげる。
目が合うと、気まずそうにそらされた。
「あーその、だからつまり透けてたからいろいろ見えちゃったっていうか……ごめん!」
勢いよく告げたかと思うと、パチンと手を合わせて謝られる。
めっちゃ反省してますというオーラが伝わってきて、私って謝ることは多くても謝れることって少ないな、なんて頭の隅で考えてしまう。
「ううん、その、気にしないで。逆に気分が悪くなるもの見せちゃって、ごめんね」
謝罪すると、流川くんはすごく悲しそうな表情をした。
その顔を見て、今日の麻妃を思い出してしまう。
ああ、また悲しませるようなこと言っちゃったな。
流川くんが走って帰ってくると、ぽんと温かいものが渡される。
ありがとうとお礼を言いながら見ると、黄色いパッケージに、美味しそうなコーンの写真が映っていた。
「コーンポタージュだ……!」
「あはは、好きならよかった」
嬉しくて思わず声が出てしまったのを、彼に笑われて少し恥ずかしい。
それにしても、好きな飲み物をピンポイントで当てて買ってきてくれるなんて、彼はエスパーなのかな……
缶を手でゴロゴロして温まっていると、流川くんはナチュラルに私の隣に座ってきた。
顔をチラッと盗み見ると、顔はもう赤くない。
彼の手には一緒に買ってきたのか、アイスティーのペットボトルが握られていた。
熱中症……は大丈夫そうかな?
よかった、と心の中でほっと息を吐く。
「あ、お金……!」
普通の女子高生よりはお金を持ってないと思うけれど、自分のドリンク代くらい払える。
コーンポタージュの缶を置いて、まだ若干濡れているかばんの中から、質素なブラウン色のお財布を取り出す。
「いいよ、それくらい」
「えっ、悪いよ!ただでさえタオルとか体操服とか……」
なにもかもお世話になってる。
私は流川くんに何もできてないのに。
なんでもなさそうに笑う彼に、どうしてこんなに優しいんだろうと、少し怖くなる。
これが普通……?
みんなにとっての当たり前、なのかな……
そんな風に悩んでいると、表情に出ていたのだろうか、流川くんがそれじゃあ、と続ける。
「よければ話、聞かせてよ。当たり障りのない範囲でいいからさ」
一段と優しい声で話されて、心がほわっと温かくなる。
麻妃も私に優しいけれど、どちらかと言えば手を引いて歩いてくれる太陽みたいな優しさだ。
流川くんはなんていうか、布団とコーンポタージュみたい。
温かくて眠くなってしまいそうな感じがする。
「……やっぱり、痣とか見えて、た……?」
意を決して聞いてみると、彼は驚いた顔をした。
首に手を当てて、言いにくそうに口を開く。
「……あー、そっちじゃなくて、なんでびしょ濡れだったかを聞こうかなと思ったんだけど……」
やってしまった!!
自分で口を滑らしたことに気づいて、顔を手で覆い俯く。
「ご、ごめんなさい……!忘れてください!」
恥ずかしさと申し訳なさで消えてしまいたい。
日本語ってなんて難しいんだろう……
いや、これは私の勘違いだから、日本語は悪くないんだけれども……
声にしてしまった言葉は取り消せない。
「えーと、正直な話、痣が見えてたかと聞かれたらイエスなんだけど……」
「やっぱり見えてたんですか!?」
流川くんの言葉に驚いて、パッと顔をあげる。
目が合うと、気まずそうにそらされた。
「あーその、だからつまり透けてたからいろいろ見えちゃったっていうか……ごめん!」
勢いよく告げたかと思うと、パチンと手を合わせて謝られる。
めっちゃ反省してますというオーラが伝わってきて、私って謝ることは多くても謝れることって少ないな、なんて頭の隅で考えてしまう。
「ううん、その、気にしないで。逆に気分が悪くなるもの見せちゃって、ごめんね」
謝罪すると、流川くんはすごく悲しそうな表情をした。
その顔を見て、今日の麻妃を思い出してしまう。
ああ、また悲しませるようなこと言っちゃったな。



