ぼやける視界に彼がぼんやりうつる。
溢れる涙をぬぐう。

すると、流川くんにぎゅっと抱きしめられた。
彼の体温を感じて心臓がドキドキする。

息を吸うと、前に貸してもらった体操服と同じ匂いがした。


「……いいよ、我慢しないでたくさん泣いて」
「……っ」


彼のその言葉を境に、声ですら我慢できなくなった。
今ですらいっぱいいっぱいだったのに、溢れるように涙が、感情が流れていく。


「……うう、うわあああん」


まるで小さな子どもみたいに号泣する。
だけど彼は何も言わずに、ぎゅっと抱きしめてくれていた。

温かくて優しい。
だけどやっぱり、どこか切なくて。


そして私はいつの間にか泣き疲れて眠っていた。