中に入った途端、ものすごく分かりやすい視線を向けられて萎縮してしまう。
下っ端さんだろうか、''あのひと誰''と言わんばかりの好奇の眼差し。
....一応、一回は会ってるんだけどなあ。
私ってそんなに影薄いんだ....と、密かにショックを受けながら、上の階へと繋がる階段を登っていく。
縁からそろり、と幹部室を覗いてみると、誰もいなかった。
....湊くんたち、いないんだ。
言いたいこと....というか、主にお礼と謝罪をしたかったのに。
そして、そのまま通路を真っ直ぐと進む───と
''特別室''の扉の前に、ぼうっと立ちつくす。
『ここは....なんつーか、俺の部屋?』
あの日、倉庫でのお泊まり会....で、律くん専用の部屋で、ふたり───で
あの日の夜のことを思い出してしまって、じわじわと頬が熱くなる。
それらを振り切るみたいにぶんぶんと顔を横に振ると、ドアノブに手をかけた。
「失礼、します....」
ガチャリ、とドアの開く音のあと、ゆっくりと部屋に足を踏み入れた。



