オトナだから愛せない





てか、寝る前に泣いたから絶対いま目元パンパンだよ。こんな顔見られたくないよ。なんて、この状況でも皐月くんに少しでも可愛く見られたいとは女々しいにも程がある。



皐月くんは私の顔がどうであろうと、もう興味もないだろうに。
さっきのあの人、綺麗だったな。なんて自分に追い打ちをかけるように記憶が蘇った。




「皐月くん……」

「……」




ぎゅっと抱きしめられたまま名前を呼んでみるけれど一向に応答はない。なに、私への罪滅ぼし?それともなんて切り出そうか迷ってる?考えてる?



どっちにしたって私は振られるんでしょ……皐月くん。
だったら、早く終わりにしてよ。こんなの辛すぎるから。




「皐月くん、」

「……」

「皐月くん、私なら大丈夫だよ」

「……」

「……気にしないでよ」

「……」

「……皐月、くん」

「……」

「いいよ、別れよう……」




その言葉を溢せば私を抱いていた腕を解いた皐月くんは、バッと今度は私の顔を覗き込んできた。




「は?胡桃、」

「……」

「お前なに言ってるんだ?」

「え、だって……」

「俺と別れたいのか?」




焦った様子で眉根に皺を寄せる皐月くんは、これでもかというほどに顔を近づけてくるから困る。