偶然だった。本当にたまたま。
土曜日で学校が休みで友達と映画を観に行った帰り道。
「え、」
「あ、」
友達と別れて家に向かっていれば偶然にも、お洒落なカフェの前で皐月くんに出会った。
しかも、
「皐月さん、どちら様ですか?」
「え、あ、いや……」
「……」
もれなく、綺麗なお姉さん付きで。
皐月さんって……。
パンツスーツを着て、髪をポニーテールにした綺麗なお姉さんは皐月くんのことを下の名前で呼んだ。
その綺麗なお姉さんはどちら様でしょうか……?仕事相手なら、きっとそんな呼び方しないよね……。
「いや、彼女は」
「皐月さんの、知り合いですか?」
「……」
罰が悪そうな皐月くん。しかも、いつも私には意地悪な皐月くんの物腰がなんだか柔らかいような気がするのは気のせいだろうか。
本当はいつだって不安だった。大人な彼に私は釣り合ってないんじゃないかって。
お姉さんは綺麗で仕事も出来そうで、なにより皐月くんと並んでいると悔しいくらいお似合いで。



