「……体調悪いくせにって……」
「本当のことです」
ゴクリと咀嚼したおにぎりを飲み込む。熱で味なんか大して分かりもしないはずなのに。どこにでも売ってるおかかのおにぎりが無性に美味しく感じた。
おにぎりを食べ終え、彼女が買ってきてくれた風邪薬を水で流し込む。
「本当にご迷惑をお掛けしてすみませんでした。おにぎりと薬代いくらでしたか?」
「あ、いいですよ。私が勝手にしたことなので」
「いやいや、そうはいかないですよ」
「なんか、逆にすみません……」
「なんであなたが謝るんですか」
助けてもらったのは俺なのになぜか彼女が申し訳なさそうに俺に謝るから、また、おかしくなってしまった。
遠慮する彼女にきっちりお金を渡し、先ほどより楽になった体を持ち上げる。
「では、私もそろそろ失礼しますね」
「……」
俺の隣で彼女もそう言うと、すっと立ち上がった。
俺の胸が、ざわざわと騒ぎ出す。これで本当に終わりでいいのか?
「じゃあ、お兄さん、気をつけて下さいね」
そう言うと階段の方へ歩いていく彼女。
あれ、確かこの先の駅まで行くと言っていたはず。



