「お兄さん、ふらふらだったので心配で私も電車降りちゃいました」
「は!?降りちゃいましたって、」
「あの私、風邪薬買って来たので飲んでください。お薬飲むのに何か食べたほうがいいかなと思って一応、おにぎりも買って来ました」
俺の隣に腰かけた彼女は、おにぎりと風邪薬を取り出し「食べられます?」なんて、普通に聞いてくる。
いやいやいや、おかしいだろ。
「いや、てか、なんで薬局の袋持ってるんですか?」
「あ、あの、風邪薬買おうと思ってホーム内の売店に行ったんですけど売ってなくて、」
「そりゃ、医薬品だから薬局じゃないと置いてないですよ」
「あ、そうなんですよ!売店の人にもそう言われました。お兄さん辛そうにここに座っていたので、しばらく帰れないだろうなと思って一回駅を出て駅前の薬局で調達して来ました」
「は、わざわざ、改札出て、また入ったのか!?」
「はい」
驚く俺のことなんか気にも止めていない様子で彼女は袋の中から、500mlのペットボトルの水も取り出した。
その姿に思わず口元が緩んだ。
なんで、見ず知らずの俺に。他人の俺にそんなに優しくできるのか。
何か見返りでも求めてるのか?いや、違う。あんなに眉根に皺を寄せて、わざわざ電車を降りて、薬まで買いに行って。



