オトナだから愛せない




ガラじゃないと思いつつもメッセージを送って、会いたいななんて我ながら気持ちが悪い思考に陥って我に返った。スマホをポケットにしまって、エレベーターで下に向かう。



胡桃に出会ってからの俺は少し、いや、だいぶ自分でも嫌になるくらい気持ちが悪い。



会いたいとか、小まめに連絡を取るとか今までの俺だったらありえなかったのに。



エレベーターを降り、マンションのエントランスを出てバス停に向かおうとした。



と、




「皐月くん!」

「……!」




遠くで聞こえた聞き慣れた可愛らしい声に思わず視線を上げる。




「皐月くん、おはよう!お仕事行ってらっしゃい!」

「……胡桃……?」




見上げた先にはパジャマ姿の胡桃。俺に向かって手を振ってくるその姿に無惨にも俺の胸は一瞬で掴まれた。