「なんて、不用心な……」
乾かしきれていない髪をタオルで拭きながら自分の家を出て、一応扉をノックしてからドアノブを回した。
「本当に、空いてる……」
「お邪魔します」と一声かけてリビングの方に向かえば、帰ってきたばかりであろう皐月くんがネクタイを緩めていた。
「お仕事お疲れ様です」
「おー、不良娘」
「なにそれ!」
「こんな時間まで起きてるガキは、不良娘だ」
「こんな時間ってまだ11時半前だし!」
「元気だな」
「なにそれ、」
「そんだけ元気なら、食えるだろ」
「え、」
そう言うと、皐月くんは視線をローテーブルの上のコンビニの袋へ移した。視線で「それ」と言われているみたいで私はその袋の中を見る。
サラダにカップのお味噌汁と、おにぎりがふたつ。どうやら皐月くんの夜ご飯のようだ。
なんてヘルシーで量の少ない夜ご飯だろう……。
そんな私の思考に気がついたのか皐月くんは「今日は遅いからそれだけなんだよ」と言ってきた。
「てか、お前のはそれじゃない。俺の飯まで食うな」とまるで私が大食いのような扱いをする。ひと言多いよ、全く。
皐月くんの夜ご飯を袋から出せば、一緒に入っていたふたつのカップがぽつりと袋の中に取り残された。
それを見て私は思わず口元を緩める。



