オトナだから愛せない




「なにさ、いつもツンツンしちゃって」

《お前はいつもふにゃふにゃだな》

「なにそれ!あ、もしかして可愛いってこと?」

《いや、バ……あ、そうだな可愛いってことだ」

「ねぇ、いま、“バ”って言った!絶対バカって言おうとした!

《こんな夜中に元気だな。お前明日も学校だろ、早く寝ろよ》

「いまからお風呂入って寝ますー。じゃぁ……」




あいも変わらず絶対零度な皐月くん。たぶん、永遠とツンツン攻撃をくらいそうなので電話を切ろうとすれば突然、《胡桃》と優しい声音が鼓膜を叩いた。


必殺技みたいでなんだかずるい。そんな声で呼ばれたら無視できないじゃんか。





《バニラと、抹茶と、チョコレートどれがいい?》

「え、なにが?なんの話?」

《いいから、どれ?》

「え、えっとじゃあ抹茶」

《抹茶な》

「って、え、本当になに?」

《あと15分くらいで帰るからお前はそれまでに風呂に入っとけ》




それだけ言い残され、私が質問をする隙など与えてくれることもなく、スマホからはツーッ、ツーッ、と悲しい機械音が流れた。



切ったよ。自分からかけてきて一方的に謎の質問だけして、勝手に切りましたよ。なんてことでしょうか。きっとジャイアンもびっくりだよ皐月くん。



訳が分からない。でも、とりあえずお風呂には入らなければいけないのは事実で、スマホをソファに放り投げ、お風呂に向かった。



決して、皐月くんに言われたからではない。そこだけは強調しておこうと思う。





けれど、結局お風呂から上がりあのあとの皐月くんがどうしたのか気になって、連絡しようかなとスマホを見れば、なんと、なんと、皐月くんからメッセージが届いていた。