オトナだから愛せない






「胡桃」

「え、ちょ、皐月くん!?」




するりと胡桃の隙をついて、手首を引いて抱き寄せる。胡桃はいつだって甘い匂いがして、俺の理性を乱して、思考回路を鈍らせる。



ガチャリと後ろで鈍い音を立てて扉が閉まった。



無性に、会いたかった。抱きしめたかった。




「皐月くん、ねぇ、離して」

「無理」

「お水持ってくるから」

「嫌だ」

「ねぇ、だいぶ酔ってるでしょ?大丈夫?」

「……」




華奢な身体をぎゅっと、壊れないように大切に、大切に抱きしめる。



よかった。胡桃は俺が完全に酔っ払っていると思ってくれているみたいだ。だったら、とことん卑怯に酒の力を借りてやる。




「皐月くんって、お酒飲むと甘えたになるの?」

「そーかも」

「なんか、可愛い」

「可愛いって言うな」

「ごめんなさい」

「……」

「……」

「胡桃、会いたかったよ」

「普段の皐月くんはそんなこと言わないよ」

「そー?」

「うん。言わないよ。そんなこと言うなんて絶対酔ってるよ」

「そうかも、」

「そうかもじゃないよ」

「酔いが覚めるまでもう少し、こうさせて」

「(どうせ明日になったら今日言ったこと全部忘れてるんだろうな……)」

「(君にどうしても会いたいなんて、酔ったフリでもしなきゃ、こんなこと言えない)」



ずるい大人で、