《……もしもし、》
「胡桃、早く玄関のドア開けて」
《さつき、くん……?》
「うん、だからさっきもそう言ったよね。なに、俺のこと無視してるの?」
《いえ、断じて!》
不安げな声から弾けた声に変わった胡桃は「ちょっと待って」と言うとそれから数秒の後、目の前の玄関の扉が開く。
「遅い」
「ご、ごめんなさい」
俺の言葉に不安げな表情を見せた胡桃。そんな顔をしてほしいわけじゃないんだ。通話を切り、ふらりと玄関に足を踏み入れる。
「皐月くん、今日飲み会だったの?」
「うん」
「もしかして、酔っ払ってる?」
「酔っ払ってないよ」
「大丈夫?」
「……んー」
「お水持ってくるからここに座って待ってて」
胡桃の顔を見た瞬間、なんだかほっとして酔っていないはずなのに、なんだか頭がふわふわする。
俺を心配して玄関に置かれた小さな折り畳み椅子まで誘導しようとする胡桃。けれど俺はその優しさを無駄にした。



