オトナだから愛せない





「皐月、くん……?」

「……」




ぎゅっと、握りしめられた掌が熱くて皐月くんの熱なのか、私の熱なのか分からないほど。その間に隙間なんて微塵もないみたいに。





「胡桃、お前は俺のだろ。勝手に他の男に言い寄られそうになってんなよ。ムカつく」




じんわりと、皐月くんの言葉が私の脳内で溶ける。それは甘い、甘い、危険な麻薬のように。まるで洗脳でもされるみたいに。




「どれだけ待ってたと思ってるんだよ」

「あ、ごめんなさい……。すぐ帰らなくて」

「そうじゃなくて、お前が高校卒業すんの」

「え、」

「やっと、卒業した」




握られた手を思い切り引かれバランスを崩した私は皐月くんの腕の中に閉じ込められた。




「皐月くん、苦しいです……」

「無理、離してやらない」

「……さつ、き、く」

「ずっと、ずっとずっと、我慢してきたんだ。これからは手加減できる自信ない」




するりと近づいてきた皐月くんの綺麗な顔。あまりにも無駄のないその一連の流れに私はただ流されるまま。