「こいつはーーーー、胡桃は俺のだから。誰にも渡す気ねえよ」
「え、ちょっと皐月くん!?」
「いいから行くぞ」
「あの、杉野くん、本当にごめんね!」
絡められた指先を引かれ、みんなからの羨望の眼差しを浴びながら私は皐月くんの背中を追いかける。
正門を出て少し歩いたところには皐月くんの車が止まっていた。
「あの、皐月くんさっきから私のスマホ、皐月くんのおかげでずっとうるさいんだけど」

みんなからの質問の嵐である。
「そんなことより、なにしてんだよお前は」
「え、」
「え、じゃないだろ。卒業式終わったならとっとと帰って来いよ」
「え、だって秋ちゃんたちと写真撮ったりいろいろしてて」
「うっかり告白されそうになってんなよ」
「告白?誰が?もしかして杉野くん?ないよだって杉野くんは前に」
「バカ」
「なにさ、いつも以上に不機嫌だなぁ」
「お前のせいだろ」
そう言うと、あともう少しで車だというのに足を止めた皐月くん。
眉根を寄せてこちらを向いた彼の表情はどことなく悲しげだった。



