オトナだから愛せない





周りで女の子たちの黄色い悲鳴が聞こえた。秋ちゃんは「え、もしかして胡桃の彼氏!?」とさきほどよりも興奮している様子。



いまこの時、この状況のインパクトが大きすぎて数時間前の一大イベントであった卒業式のことなど頭の片隅の片隅に追いやられてしまった。



どうして、私は高校生最後の日にこんに注目を浴びているのか。皐月くんの言葉で薄々感づいてはいた。私の親が昔、皐月くんに出した条件、それは、




“籍を入れていることは、会社や学校には秘密にすること。公開していいのは私が高校を卒業したら”




「ってことで、杉野くん……だっけ?」

「は、はい」

「胡桃に話があるみたいだったけど、胡桃は連れて帰るから」




杉野くんにそう言い放った皐月くん。突然現れてなんとも横暴な。




「あの、でも、俺まだ胡桃に言いたいこと言えてな」

「ごめんな、でもそれ俺もだから」

「え、」

「こっちも、言いたいこととやりたいことが溜まりに溜まってるから。生憎、大人の余裕ぶっこいて他の男に譲るほど、俺は出来た大人じゃない」

「……」