オトナだから愛せない





「えーと、胡桃の友達のアキちゃんだっけ?」

「あ、は、はい!!」




皐月くんに名前を呼ばれた秋ちゃんの今までに聞いたことのないような元気でハツラツとした声音が隣で響く。



私の腕を抱く秋ちゃんの腕にぎゅっと力が入ったのが分かった。秋ちゃん、痛いよ……。




「案内、ありがとう。胡桃もう連れて帰ってもいいかな?」

「あ、はい!どうぞどうぞ!お待たせして申し訳御座いませんでした!」

「え、ちょっと、秋ちゃん!?」




なんで秋ちゃんが勝手に話を進めてるの?私はまだ杉野くんの話を聞いていないんだけれど。



秋ちゃんの腕を引き剥がし、興奮気味の秋ちゃんと、知らない男性の登場に置いてけぼりを食らっているであろう杉野くんへ視線を移す。



案の定、なにが起きているのか分からないと言いたげな表情でこちらを見ていた。




「あの、杉野くんごめんね話の途中だったのに」

「え、あ、うん」




ちらりと皐月くんを見れば「帰るぞ」と、ひと言。




「皐月くん、私、杉野くんと話してくるので、少しだけ待っててもらえませんか……?」

「却下」

「え、ちょ、ちょっと、こんなところで本当になに言ってるの?」




ついに皐月くんはおかしくなってしまったのだろうか……。




「卒業式終わったんだろ?卒業証書もらったんだろ?」

「終わったし、もらったよ。だからどうしたの……?」

「じゃあ、お前の親との約束はもう時効だ」




数歩で私との距離を詰めると皐月くんはするりと私の指先に自分のそれを絡めてきた。