「え、どうして……?」
「え、じゃないよ!私の方こそ、え!?って感じだよ!!あのイケメンは誰!?門の外でずっと胡桃のこと待ってたって言ってて、胡桃のこと探してたんだよ!!」
興奮気味の秋ちゃんに腕を組まれ「誰なの!?誰なの!?」と連呼される。
グレーのスーツをさらりと着こなし、端正な顔で私の前に現れたその人は、
「……皐月、くん?」
「遅い」
「え、なんで、皐月くんがここにいるの……?」
多分、秋ちゃんの後を追って来たのだろう。数歩先で皐月くんは低めの不機嫌そうな声音をなんとも容易く使いこなし「遅い」とひと言、私を責めた。
「なんで?じゃないだろ、卒業式もうとっくに終わってるよな?」
「え、う、うん」
思わず普通に返事をしてしまった。けれど“うん”じゃなくて、そういうことじゃなくて。
「そうじゃなくて!なんで、皐月くんがこんなところに来てるの!?卒業式来ないって昨日言ってたじゃん!」
「いや、だから式はもう終わったんだろ?俺は“卒業式には行かない”って言っただけだ」
「え……」
「誰も“迎えに行かない”とは言ってない」
「え!?ちょ、こんな、え、ちょっと、みんなの前で、え!?」
絶対に来るはずのないと思っていた皐月くんの突然の登場に脳内の処理が追いつかない。あれ、日本語って、難しい。いや違う私の脳がキャパオーバーで、ポンコツなだけか。



