オトナだから愛せない






「こんなもんじゃないよ!まだまだたくさんあり過ぎてキリがないくらい!」




私が言えば、ポンっと皐月くんは手のひらを私の頭に乗せた。さらりと髪をすかれて身体が跳ねる。


なになになに!!いきなりのその行為に、どきどきが加速して、熱い。




「皐月くん?どうしたの?」

「なんでもない。いーから帰るぞ」




また皐月くんは話をそらす。




「えー、なに?ねぇ、ところで私の好きなところは?」

「そういうところ」

「ねぇ、なにが?なにがそーいうところなの?」

「分からないならいーよ」

「えー、嫌だ!教えて!」




私をからかう皐月くんの背中を追う。




「だから、お前のそーいうところだって」

「(なんか、皐月くんすごく機嫌いい)」




結局「そういうところ」の一点張りな皐月くんは私の好きなところを言ってはくれなくて。「ケチ」と小さく、本当に聞こえるか聞こえないかくらいのボリュームで呟けば「聞こえてる」と低い声音に突き刺された。