「あ、てか、私ばっかり言わされてる!」
《え……》
結局、私ばかりが言わされていることに気がついて、思わず大きな声を上げてしまった。と、電話越しの皐月くんはちょっと驚いた声を漏らす。怒られる……うるさくしてすみませんでした。
《胡桃、いまどこ?》
「あ、またそーやって話をそらす!」
《いや、そうじゃなくて、いーからどこにいる?》
また話をそらそうとする皐月くんに、今度は騙されない!と強く心に決め絶対、絶対、言ってもらうんだ!と思っていれば、なんだか慌てたその口調。
「帰り道、もうちょっとでコンビニが見えるところ」
私が答えれば少しの沈黙のあと、
《胡桃、後ろ》
優しい声音につられるように後ろを振り向く。思わず、通話を終了してスマホをポケットにしまった。
「皐月くん!」
視線の先には素敵な笑みを携えた皐月くん。嬉しくなって来た道を戻り皐月くんに駆け寄る。
「皐月くんも今帰りだったんだね。会えて嬉しい!」
と、勢いで駆け寄ったはいいものの、突然現れた彼の姿に急に恥ずかしくなった。それを隠すように皐月くんを責めてみる。
「あ、てか、皐月くん!私にばっかり言わせてずるいよ!
「で、もう終わり?俺の好きなところ?」
綺麗な顔を悪戯に歪めて、私をからかう。
結局、私が皐月くんに勝てるはずもないわけで。口角を上げた蠱惑的なその表情に彼への“好き”がまた積もっていく。



