オトナだから愛せない






「皐月くん、酔ってるの?」

「酔ってない、ビール1杯で酔っ払うわけないだろ」

「じゃあ、どうしたの?」

「なに?なんか特別な理由でもないと胡桃のこと抱きしめちゃいけないの?」

「……いや、そんなことはないけど……」




甘ったるい皐月くんの言葉にどきどきがさらに加速する。皐月くんに気づかれたら恥ずかしくて死んじゃう。




「皐月くんは、ずるいよね」

「なにが?」




お腹に回った皐月くんの腕にそっと触れた。私も皐月くんにぎゅってしたい。



身をよじって巻きついていた皐月くんの腕を離す。皐月くんの方に向き直り今度は私が皐月くんの首に腕を回した。




「ずるいよ皐月くんは、いつだって頭の中皐月くんでいっぱいにさせられるもん」

「はぁー、お前はわざとなのか?」

「なにが?」

「お前の方がよっぽどずるいだろ」

「え、なんで?」

「なんでもない」




皐月くんはそう言うとぎゅっと私を抱きしめた。






「(俺の方がいつだって、)」