オトナだから愛せない






《なに、言われたんだよ》

「いや、それは」

《言わないんじゃ、俺も胡桃が知りたがってる質問に答えないけど》

「え、そんな」




意地悪な声音が耳元で楽しそうに笑っている。私で楽しむの、やめてほしい。私はそんな皐月くんの声音にさえどきどきするのに。




《じゃあ、答えないなら切るぞ》

「え、ちょっと待って皐月くん!」

《なに?》

「あの……」

《うん》

「友達にね、彼氏とのマンネリは良くないって言われて。皐月くんをどきどきさせたくて、でもどうしたらいいか分からなくて……」

《そんなことか。俺が刺激を求めて他の女にいくと》

「……うん」

《バカだな》

「バカじゃ、ないもん」

《いや、十分バカ》

「酷い……」

《(バカだろ、お前のひと言に俺がどれだけ翻弄されてるかなんて知りもしないで)》

「ねぇ、私も話したんだから皐月くんも教えてよ、どうしたらどきどきしてくれるの?」

《やっぱり言わない》

「え、ずるい、約束と違う!」

《知らなくていいんだよ、お前は》

「え、なんで?私ばっかり皐月くんにどきどきさせられるのは嫌!」

《へー、胡桃は俺にどきどきしてくれてるんだ?》

「あ、え、そりゃあ……するよ……」

《(本当にバカだな、そういうとこだよ)》

「ねぇ……皐月くん……?私だけは恥ずかしい!」

《(これ以上余計な技身につけるな。なんにも分かってない無自覚なお前に俺は、)》