オトナだから愛せない




帰り道、由奈ちゃんの話に不安を募らせた私の頭の中は皐月くんでいっぱいだった。




「大人な皐月くんはいったいどんなことにどきどきしてくれるんだろう….…」




好きとか言っても軽くあしらわれそうだし。あんまりしつこく会いたいって言って仕事の邪魔をして困らせるのも嫌だし。そしたら、私にできることってなんにもないような……。



いや、それじゃあ皐月くんと私の関係は終わりに向かってしまう。そんなんじゃダメだ。制服のポケットからスマホを取り出した。皐月くんの心を繋ぎ止めなくては。




























「っえ、」




メッセージを打っていれば突然着信を知らせたスマホ。暗闇の中でびっくりして思わず落としそうになった。着信相手は皐月くんだ。




「もしもし、皐月くん」

《胡桃、俺、話が全く見えないんだけど。なんだよいきなり》

「いや、あのちょっと教えてほしくて」

《なにを?》

「皐月くんのどきどきのツボを」

《なんだよ、もしかして友達になんか吹き込まれたのか?》

「え、いやそんなことは……あるような、ないような……」




電話越しにあいも変わらず私を見透かす皐月くんを私がどきどきさせるなんてやっぱり、不可能のような気がした。