オトナだから愛せない




「まあ、いいや」

「え……」

「今日は勘弁してやる。そのかわり明日も早く帰るから夜、空けとけよ」

「う、うん」




なにやらさきほどとはコロリと態度を変えた皐月くんの本日の機嫌がいまいちよく分からない。でも、これ以上詮索されないのであれば私にとっては好都合なわけで。




「明日は私も大丈夫!皐月くんとのご飯楽しみにしてるね!」

「でも、」

「……なに?」

「それ、」




振り返った皐月くんは私の手元を指さす。自分のそれに視線を落とせば袋の中のいちばん上に入れられていたチョコレートが見えた。



どうやら、頭のいい皐月くんはこれで私がしようとしていることを察知してくれたらしい。けれど、察知されてしまった以上、ごちゃごちゃ考えていた失敗した時の言い訳という名の保険はもう使えない。




「だから、今日は見逃してやるけど、」

「はい……」

「ひとつだけ、言わせろ」

「……」




「その袋の中のもので作ろうとしてるやつ、」