「……皐月、くん」
「胡桃、お前今日は予定あるんじゃなかったのか?」
長い足で一瞬で距離を詰められ思わず買い物袋を自分の後ろに隠した。サプライズで作りたい、失敗する可能性があるので切実に。
「……えーと、予定は帰ってから、で、」
「で、俺の誘い断ってまでの用事ってなに?」
「いや、あの、その、」
「ちなみに用事あるって嘘だったら許さないけど」
冷んやりとした空気の中で、冷んやりとした皐月くんの突き刺すような言葉が痛い。でもいちばんは皐月くんとご飯に行きたいのに行きたいって言えないのがいちばん悲しい。
「……いやあの、勉強……?」
「なんで、疑問形だよ」
「今日返ってきたテストの点が、悪くて……」
「嘘、下手すぎ」
「え、」
「その袋なに?」
「あ、これは……その、」
私を追い越して歩いて行った皐月くんの背中を静かに追う。皐月くんに口で勝つなんて出来っこないのに。



