オトナだから愛せない





秋ちゃんの宣言に感化された私は学校帰り普段はあまり寄らない駅の近くにあるスーパーに向かった。



チョコレートに、バター、牛乳、ナッツにラムレーズンその他諸々をバレンタインだからですと言わんばかりに買い込んだ。



帰ったら早速ブラウニー作りの開始だ。と、家に向かっていればポケットで震えたスマホ。











皐月くんからのなんとも貴重で嬉しいお誘い。



でも、今から帰ってブラウニーを焼かなければならない私に、きっとそんな時間はない。









泣く泣くお断りのメッセージを送り、家までの道を急いだ。



そもそも上手く焼けるか不安だし、皐月くんにお渡しできる形に出来るのか……。あまりにも酷いことになったら即、買いに行こう。



なんて、失敗した時の言い訳をひたすら考えながら歩いていれば見えてきたマンション。



と、




「胡桃?」

「え、」




聞きなれた声音に名前を呼ばれて振り返る。
そりゃあ、いつだって会いたいけど、今このタイミングはちょっと違う。