オトナだから愛せない





「さ、つき……くん……?」

「……ハァ、ハァ、くる、み」




ガチャリと鈍い音を立てて開いた扉。そこには涙で顔をぐちゃぐちゃにした、胡桃の姿があった。




「どうした?なにがあったんだよ!」

「……え、皐月、くん……?」




目の前の胡桃の姿に心底ほっとして、握っていたスマホは凄い音と共に地面に転がった。無意識に伸ばした腕で俺は胡桃を抱きしめる。




「さ、さつ、きくん……苦しい、よ」

「……」

「ねぇ、さつき、くん。聞いてる?」

「助けてって、ハァ、ハァなんだよ、なにがあったんだよ!」

「え、ちょ、っと待って皐月くん落ち着いて」




抱きしめていた腕の力を緩めれば、胡桃の涙で真っ赤な瞳に捕まる。そっとその目元に指先で触れればピクリと胡桃が反応した。その反応は反則だ。