スマホを耳に当てたまま、無我夢中で走った。走って、走ってマンションまで着き、乱暴にエレベーターのボタンを押す。
「ハァ、ハァ、クソッ、階段の方が速いか、」
5階で止まっていたエレベーターを待ってなどいられず一気に6階分の階段を駆け上がる。
「胡桃、ハァ、もう着くから、ハァ、ハァ大丈夫だから」
《さ、つきグスッ……くん……》
足の限界なんてとっくに超えているはずなのに、それでも無我夢中で走れるのは、胡桃だから。限界だろうがなんだろうが、一生懸命になる理由なんてそれだけで十分で。
たとえ、俺がどうにかなろうと胡桃が無事なら、なんでもいい。
「胡桃!ハァ、ハァ、開けろ!」
スマホ越しに急かすように胡桃の名前を呼び、インターフォンを連打する。けれど、連打してもインターフォンの音は鳴らない。
なんでだ?なにがあった?胡桃ーーー、



