でも、
「えっ、」
突然、左手を引かれ間抜けな声をあげて後ろに倒れかける。
でも、私の背中が地面とこんにちはをすることはなく、トンッと皐月くんの匂いに包まれた。
「え、皐月くん?」
「胡桃、前向け」
「え、え、ちょ」
後ろから皐月くんの声音が聞こえてきて、ふわりと皐月くんは私の頬に自らの頬をくっつけた。
触れたところが熱い。至近距離に皐月くんの綺麗な顔。
「胡桃早く前向けって」
「え、ちょっと、前って……?」
混乱する頭で皐月くんに言われるがまま、前を向けば構えられたスマホ。
「え、皐月く」
カシャリッーーーーーー。
私の言葉を遮るようにスマホからはシャッター音が鳴った。
画面に見えたのは、頬をくっつけた皐月くんと私。



