「同級生との浮気現場目撃したかと思って本当に焦った」
「浮気?」
「……心臓、止まるかと思っただろ」
「……浮気なんて、」
「……」
「……そんなのしませんとも」
「お前が、なんにもないとか嘘つくからだろ」
「嘘なんかついてないよ、話すの恥ずかしかったんだよ。皐月くん本人に皐月くんのことばっかり考えてましたなんて告白、恥ずかしいし、気持ち悪いって思われると思って」
私が言えば、皐月くんは腕に込める力をぎゅっと強めた。
「胡桃はバカみたいに、ずっと俺のことだけ考えてろよ」
「言われなくても、杉野くんに見透かされるくらいには私の頭の中は年中無休で、皐月くんでいっぱいだよ」
「本当にバカ。それならそうと早く言えよ、嘘下手なくせに隠そうとするなよ」
あんなに壁に追いやられて、睨まれたら話さないほうがいいと察知するのは本能かと。と些か反抗しつつ、もう怒っていないだろうかと恐る恐る探ってみる。
「あの、皐月くん」



