オトナだから愛せない




「えーと、さっき一緒に帰ってきたのは同じクラスの杉野くんで。一緒に帰ってる最中、私は別のことを考えてて、杉野くんは私が別のことを考えてることをお見通しで。で、突然告白されまして、」

「で?」

「え、」

「告白されて付きあうことになって、俺に見られて、やばいと思って黙ってたのか?」

「……え、」




話を中断され「はぁー」っと盛大にため息をつかれた。




「付き合うって、誰と誰が?」

「は、お前と、その杉野って奴の話だろ」

「どうして?」

「は?」




なんだか皐月くんとの会話が上手く噛み合わない。




「どうして私が杉野くんと付き合うの?」

「どうしてもなにも、」

「……」

「……」






「どうして?だって私は皐月くんの奥さんでしょ?」






「……っ、」

「杉野くんにはだいぶ失礼なことをしてしまって、一緒に帰ってるのに、違うこと考えてたなんてさっきは濁して話したけど、違うことってずっと皐月くんのこと考えてて。会いたくて皐月くんに連絡入れたんだよ」

「……」




そう伝えれば皐月くんは慌てたようにコートのポケットからスマホを取り出すと「ごめん、メッセージ気がつかなかった」と心底反省している口調で謝罪の言葉を落とした。