「じゃあ、なに話してた?」
「それは、」
「なに?」
「……いや、あのちなみに皐月くんはどこから聞いてましたか……?」
「なに?俺に聞かれたら都合の悪い話でもしてたわけ?」
「いや、あの、その……」
至近距離で睨まれることに耐えきれなくなり、ぎゅっと目を瞑った。恥ずかしさで、いっぱいいっぱいになりつつ、コートのポケットを握りしめて意を決した。
「胡桃」
「分かった、全部話す……」
恐る恐る瞼を持ち上げて皐月くんを見つめる。
「話すけど、私も恥ずかしいから……聞いても、引かないでね……」
「恥ずかしがるような話なのか?」
「え、」
「絶対俺に知られたくない事実の間違いだろ?」
皐月くんがなにを言っているのか、私にはいまいちピンとこなかった。
クラスメイトに告白されているにも関わらず、皐月くんのことばかり考えて、終いには好きだと言ってくれたその人に追い打ちをかけるように、“好きな人のことが本当に大好きで”と、言ってしまったことはそれほどまでに皐月くんに伝えてはいけない事実なのだろうか……?
ならば、言わないほうがいいのでは……?私だって言いたくない。本人に面と向かってそんな一世一代の告白みたいなこと。
「とりあえず、全部話せ」
「……はい」
けれど、この状態の皐月くんから逃げることはもはや不可能でしかない。私は諦めて全てを皐月くんに話した。



