オトナだから愛せない





「あ、皐月くん!」

「なにしてんの?」

「なにしてるというか、ちょうど今帰ってきたところで」

「それは見たら分かる。俺が聞いてるのはなんで男と一緒に帰ってきて好きだのなんだの、友達でいてくれたらどうとかいう話をしてるのかってこと」

「えーと、」




聞かれていたのかと思いつつ、一体どこから?なんて考えて、でも別に皐月くんにやましいことなど、一切ないのでなにをしてるのか聞かれても取り立てて答えが見つけられなかった。



逆に“いま好きな人のこと本当に大好きで”なんて、言っていたところを本人に聞かれていたらと思うと顔から火が出るほどに恥ずかしくてたまらないのだけれど。




「なに、と言われても本当になんにも……」

「なにもないわけないだろ、バカ」

「……バカって」

「ちょっと来い」

「え、」




手首を掴まれマンションまで引かれるように皐月くんの後を付いていく。



家の扉の前までついて、じっと皐月くんから睨みをお見舞いされた私は、そのまま冒頭のなんだか怖い壁ドンをされるという現在を迎えていた。




「ふたりでなにしてたわけ?」

「いや、本当になにもしてないです。ふたりで歩いて帰ってきて、ちょうどあのコンビニで別れたところで皐月くんに会ったの」




さっきまで会いたいなと思っていた皐月くんが目の前にいるのに、こんなに不機嫌なのは想定外だ。