オトナだから愛せない





そういえば、どこまで一緒に帰るのだろうか。
ちらりと杉野くんの横顔を盗み見て感情の読み取れないその表情から視線を逸らす。




「あれ、杉野くんのお家って……?」

「ん?あぁ、この前の雨の日に胡桃と行ったコンビニを曲がって10分くらい歩いたところ」

「あ、そうなんだ」




恐る恐る問いかけてみれば、まさかのご近所さんだという事実が発覚した。皐月くんと出かける時に会ってしまってもおかしくはないので、全力で気をつけよう。




「で、胡桃」

「はい……」

「さっきの俺の質問の答えは?」

「えーと、どれですかね……?」

「好きな奴、いるの?ってやつですね」

「あ、えーと、」




キョロキョロと視線を彷徨わせて考える。別に好きな人がいるという事実は伝えても問題にはならないはずだ。ただ、誰なのか問い詰められたら誤魔化す自信が私にはない……。




「胡桃は正直だよな」

「え、」




ひとりで悩んでいれば杉野くんはクスクス笑うと「そんなのもう好きな人いますよって言ってるようなもんだろ」と、言われてしまった。




「え、」

「いやだって、好きな奴いないなら普通即答するから」

「あー、はい……」

「嘘つくの下手な」

「……人として、上手なよりはいいかと」

「まぁ、確かに。でも残念」




「なにが?」と視線を向ければ悪戯っぽく笑った杉野くん。