オトナだから愛せない






日が落ちるのがすっかり早くなった11月。冷んやりと突き刺すような風に全身が包みこまれる。



ズボッとコートのポケットに両手を入れ、暖をとるように握りしめた。遅れるように杉野くんの後を追う。




「なあ、胡桃?」

「なに?」




こちらに振り向いた杉野くんは一瞬止まり、私が追いついたところで再び歩き始める。追っていた背中がなくなり横に並んだふたつの影。




「胡桃ってさ、好きな奴いるの?」

「え、え、なに……急に……」




予想外の質問に思わず言葉を詰まらせた。横から顔を覗き込まれて思わず、ふいっと背ける。




「じゃあ、そういう杉野くんは、いるの?好きな人」




自分の話題から逃れようと今度は私が質問をしてみる。




「んー、俺はね」

「……?」




と、続く言葉を待ってみたけれど杉野くんはタレ目をとろんと垂らして優しく笑うと唇を結んでしまった。



なんとなく声をかけにくくて、黙りのまましばらく並んで歩く。
ぼんやり、今日は皐月くん早く帰ってくるかななんて考えて、ポケットに入れていたスマホを取り出してみた。



皐月くんからの連絡なんてとくになくて。それがいつも通りだから期待もしていないけれど。



ふと、今日、会いたいなと思ってしまった。
















簡単なメッセージを送ってスマホをポケットに戻す。
気がつけばそろそろ家の近くのコンビニが見えてくるところまで来ていた。