オトナだから愛せない





でもだったら、こんなところに追い詰めて尋問をするのではなく皐月くんが知りたがっていること自体を読み取ってくれればいいのになんて、自分でもさすがに無茶苦茶だと思う答えを導き出した。



そもそも私がこんな壁ドン風の尋問にあっている、事の発端は5分ほど前に遡る。




学校終わり、いつものように帰宅をしようとしていれば、




「胡桃!」

「お、杉野くん」




同じクラスのタレ目な杉野くんに昇降口で声をかけられた。




「胡桃、この前の勉強会来てくれなかったから寂しかったよ」

「あー、ごめんねちょっと急用が入ってしまって」

「ふーん」

「本当にごめんね、」




私が答えればなんだか腑に落ちないような返事をする杉野くん。あの日、私は皐月くんに付き合ってスーツを一緒に見に行った。



なんだかんだ言いながらも結局は私が選んだグレーのスーツを購入してくれた皐月くん。


久しぶりのお出かけはプチデートみたいで楽しかった。けれどそんなことを杉野くんには言えるはずもなく。その先を追求されないようにやんわりとした謝罪で流してみる。




「なんかまた、勉強会的なことする時はお声をかけていただけると嬉しいです。じゃあ、また明日ね」




へらりと笑い、靴を履き替えて杉野くんにひらひらと手を振った。


と、




「せっかくだし、一緒に帰らない?」

「え、」

「なんだよ、俺と帰るの不満?」

「いや、そんなことは……」




一緒に帰ろうなんて、珍しいなと思いつつ、そういえば前に傘に入れてもらって一緒に帰ったことがあったっけ、とぼんやり思い出した。



それと、その後に傘を持って行かなかったことをバカだの、アホだの、チクチク、チクチク皐月くんに突かれたことも思い出してしまった……。



はぁ、理不尽だ。なんて、過去の出来事を未だに引きずる女々しい自分に呆れながら「よし帰るぞ」と言って私を追い抜いていった杉野くんの背中を数歩遅れて追いかけた。