友達イジメ

「なに? もしかしてお金を準備できなかったとか?」


あたしはリカコの耳に顔を近づけてそう聞いた。


お金なんてどうでもいいけれど、持ってきていないのならそれなりの制裁が必要だった。


するとリカコはなにも言わずに俯いてしまった。


図星だったみたいだ。


「おはよぉアキコ……って、リカコももう来てたんだ?」


教室後方から入って来たのはサチとスズの2人だった。


「おはよ2人とも。リカコ、お金が準備できなかったんだって」


そう言うと一番に反応したのはサチだった。


眉間にシワを寄せて「はぁ? 持ってこいって言ったじゃん!」と、声を荒げている。


「お金なんて、持ってなくて」


「だから親の財布にあるだろうが」


サチは小声でそう言ってリカコの頭を叩いた。


「どうする? 今からでも取って来させる?」


スズがそう言ったので、あたしは教室の時計へ視線を向けた。


1度家に戻って学校へ来ている間にホームルームは始まってしまうだろう。


だけど、そんなのあたしたちの知った事じゃない。


準備できなかったリカコが悪いんだ。