「吐くなよ! もったいない!」


サチがそう怒鳴り、リカコの顔を殴った。


リカコは抵抗する気力もないのか、その場にぐったりと倒れ込んでしまった。


肩で荒い呼吸を繰り返しながら、時折えずいている。


「見てよリカコ。綺麗に撮れたから」


あたしはそう言い、リカコに写真を見せた。


「この写真、どうしようかなぁ? ヨシキにでも見せて見ようか」


ニヤついた笑みを浮かべてそう言うと、リカコが一瞬にして青ざめた。


松岡ヨシキはC組の生徒で、リカコの幼馴染の男子だった。


リカコは長い間ヨシキに片想いをしているらしい。


2年に上がってから無理矢理リカコから聞きだした情報だった。


「ヨシキは関係ない!」


青ざめてそう言うリカコにあたしは一瞬目を見開いた。


まだ他人を庇うだけの精神力が残っていたのか。


せめて、自分のために泣き叫んでみればいいのに。