「あたしだって……努力した……」


「本当に? アキコに小説を読んでもらってたみたいだけど、プロに読んでもらったことなんて1度もないんじゃないの?」


「それ……は……」


スズがあたしへ視線を向けて来た。


今度は助けを求めているように見えたから、あたしは見てみぬふりをした。


「友達の意見とプロの意見が同じだと思う?」


サチは間違ったことは言っていない。


友達から高評価だからと言って、プロレベルに到達しているとは言えない。


「スズ。あんたは本物の小説家になんてなれない。身の丈を知った方がいいんじゃない?」


サチがそう言い、笑った。


釣られるようにしてクラス中に笑い声が充満していく。


あたしも、みんなと一緒になって笑っていた。


友達だったはずのスズの姿が、やけに小さくなったように感じられた瞬間だった。