「それってさ、出版社もスズの盗作を認めたってこと?」


誰かがそう呟いた。


スズが呟いた犯人を捜そうと勢いよく顔をあげる。


しかし、そこにあるのは自分を見下し、あざ笑うクラスメートの顔ばかりだ。


「なんであたしの夢を壊すの!?」


スズがクラス全員へ向けて叫ぶ。


「なんで!? あたし、なにかした!?」


叫びながら、両目からボロボロと涙が零れ落ちて行く。


しかし、スズに手を差し伸べる生徒は誰もいない。


「ねぇ、スズ」


サチがようやく立ち上がり、スズに近づいた。


スズは警戒心をむき出しにしてサチを睨み付けている。


「スズの夢が叶ったのは、カオリさんのおかげだよ?」


そっと、あたしたちにしか聞こえないように言うサチ。


「スズの努力が実ったわけじゃないってこと、ちゃんと理解してる?」


サチの言葉に、スズが大きく目を見開いた。


その唇が小刻みに震え始める。