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次のターゲットは同じクラスの妹尾マキだった。


マキは2年A組の中で一番大人しくて、正直なにを考えているのかわからない子だった。


休憩時間はいつも1人でいるけれど、本を読むわけでもなくただ机に座っている。


声を聞いたことは数回しかないかもしれない。


「どんな風にイジメる?」


学校の女子トイレ、あたしたち3人しかいない中あたしはスズへそう聞いた。


「とりあえず、イジメの定番をやってみようと思う」


「定番って?」


サチがそう聞いた。


「体操着を隠したり、机に落書きをしたり」


その言葉にあたしはつい「そんなの生ぬるくない?」と、言い返していた。


リカコのときもコトネのときも、もっと過激なイジメ方をした。


「そうかな?」


困ったように眉を下げるスズ。


「いいじゃん。とりあえずスズの提案でやってみようよ。イジメの主犯はスズじゃないとダメなんだから」


慌てた様子でサチがそう言った。


「そっか。それもそうだよね」


あたしのせいでスズの願いが叶わなくなると、申し訳ない。


「うん。それでダメなら、どんどんエスカレートして行けばいいんだよ」


「わかった」