「…お前こんな時間に何やってんだよ。夜勤中だろ。

しかもなんだよ今のは…」

抱き寄せられている状況よりも、聞かれてしまったことが恥ずかしくて一気に顔に熱があつまる。

「わっ忘れてください!
聞かなかったことにしてください!
しっ師長にも黙っててください!
お願いします…」

よりにもよって服部先生に聞かれてしまった…。

もはや私の目は涙目だ。

「…俺がなってやる。」

「へっ?」

「だから俺が高橋の彼氏になってやる」

「なっ、やっ、けっ結構です!
えっ遠慮させていただきます!」

「遠慮すんなよ。
仮眠室の神様に頼んだんだろ?
だいたいどう頑張っても坂口は無理だろお前。」

呆れたように見下ろし、服部先生は私を脅した。

「ちょうどよかった。
部長が縁談もってきてしつこいんだよ。
俺と付き合うよな?
…師長に言うぞ……麻美」

口角をあげてニヤリと笑う先生に見据えられ、かすかに首を縦にふると私の口は先生の唇で塞がれた。

「契約成立」

目の前の人物は悪魔のような笑みを浮かべてもう一度深く唇を重ね、私は再び違った意味で腰を抜かした。