仮眠室で囁いて

「先生？気が早いですよ。
また一人で未来を想像していましたか？
ちゃんと目の前の私を見てくださいね｣

片想いが長すぎて、相変わらず俺の妄想はとどまるところをしらない。

俺たちの薬指にはおそろいの指輪がはめられている。

プロポーズは期待を裏切って夜景の綺麗なレストランで指輪を贈った。
というかそれがセオリーだろ。
しかし彼女は、
「仮眠室じゃないんですかぁ｣

と少し頬を膨らませたが
「隼人どうもありがとう。
今日のことは一生忘れないから｣
と満面の笑みで、薬指にはめた指輪を嬉しそうに眺めていた。

幸せそうに微笑む彼女を眺めていたら、ほっとして気が緩んだ俺のほうが思わずポロリと涙がこぼれた。

そんな俺を見た麻美がびっくりした顔をして突然泣き出した。

「もぉ、隼人が泣くからぁ。
ずっと私を想い続けてくれてありがとう。
隼人ぉ。大好きぃ｣

「くそっ！
こんなところでしなきゃよかった。
ここじゃ麻実を押し倒せねぇ」

「もぉ！
思ってることすぐ口にしないでください！
でも…早く二人になりたいですね」

麻美が頬を染めてうつむき、可愛すぎて抱き締めたくてたまらない。