「…帰るぞ。
小児科のヘルプも今日で終わりだ。
明日からまたこきつかうからな。
明日は俺のオペ看で入れる。
帰って早く寝るぞ。」

「…抱き枕ですか…」

「枕でいいのか?
朝言ったはずだが。夜に仕切り直しだと。期待しとけ」

「…っ!!」

抱き締める腕を離し、意地悪ないつもの先生が私の顔を覗きこむ。

「真っ赤」

「うっ!」

恥ずかしくて走り出した背中に笑い声が聞こえる。

「院内は走るな、麻美」

呼ばれた名前に立ち止まり振り向くと、大好きな人の優しい笑顔が目を細めてみつめている。

「早く一緒に帰りましょう、、、

はっ隼人!」

大きく目を見開きその顔がぱっと一瞬で朱に染まる。

「…院内で呼ぶな…」

先生の照れた顔が可愛くて、もう一度呼んでみる。

「隼人…」

「年下のくせに呼び捨てなんて百年早い」

「 …じゃあもう言いません。
服部先生、帰りますよ!」

「……」

不貞腐れた先生にかけより耳元でこっそり囁く。

「今夜たくさん名前呼ばせて下さいね」

「呼んでる余裕があるならな」
ニヤリと笑われて今度は私が真っ赤になった。