「…あの…佐久間先生…もしかして坂口先生って…」

真っ赤になった顔のまま、隣の背の高い佐久間先生の顔を見上げた。
困った顔をして
「そういうこと。
…結構鈍いよね高橋さん。」
と苦笑いした。

「昨日はね、あいつ嘘をついて高橋さんを誘ったんだよ。
俺は昨日当直。
誰も昨日一緒に飲みに行く約束なんてしてない。」
「えっ……」
「酔った高橋さんをホテルに連れ込んで、君の携帯から服部先生に電話してきたんだよ。
抱くって」

ぎゅっと痛む胸に思わず胸の辺りの服をにぎる。

「ホテルの名前を言われて服部先生が病院から飛び出して行って。
あとはどんなやり取りがあったのかは知らない。
…先生には聞くなよ?
聞いても本当のことは言わないだろうし、高橋さんを傷つけたくなくて優しい嘘をついてるだろきっと。」
目元がじわりと熱くなる。